ホショク
沼の畔に咲いた三色菫を
その手で摘んでそっと握り潰して
指の隙間から>溢れ落ちた>色で誘って
私でどうか埋め合わせてください
「無い物強請り」と縛る鎖は
錠が閉められずにずっと問うている
同じ表情をした>貴方が吐いた
歪んだ言葉を接ぎ合わせたいんだ
淵においで 此処においで
沼の畔で泣いた貴方を
撫でる腕など無く 差し出したのは
甘く香った>間に合わせの>私の“アイ”
貴方が望む黒が手に入る色
「心を揺するは何だろうか」と
幸の意味も知らず問いは続いていく
沼の畔に咲いた三色菫を
その手で捥いでぎゅっと搾り尽くして
境界の無い事>実に魅入る>私を掬って
汚れるのなら擦り付けてください
思い出の中で>私が割いた
無垢な恋情を爆ぜる音の中に
帰さないで 還さないで
貴方自身で裂いた体内に
探していたものは見つけましたか?
啄まれていく 毀れ落ちる 一つになる
私が惑う闇を照らし出す色