云ってみたら
伸ばした爪を見詰めては
幾度と無く溜息を吐く
そうして時が流れるのを
君の隣、本日も待つ
尖っているはその顔か
いやはや紡がれる言葉か
甘んじ全て受け容れやう
人の価値は本質に在る
何故それ程に、意固地であるか
私に教え>てくれだ等と
抜かすつもりは更々無いが
こうも進まねば閉じたままで居られない
君に意地悪を云ってみたら
小さい眼を濡らし鳴くだろうか
そんな可愛さなんてこれっぽっちも無いね
私もそうだと識っているが
断じて甘い顔はせず
毅然と背筋を伸ばすのに
不思議と君の髪の香に
優し夢の残像を観る
何故これ程に、素直でないか
生まれの性は>憎めないが
今日も顔を見せない内から
洒落た靴音を閉じたままの眼で待つ
君が数奇だと云ってみたら
その薄い口唇は何と言うだらうか
どんな私ならば気に入ってくれるか
合わせるつもりも無いのだけど
君に一言云ってみたら
どれほど秩序が崩れ繕えるか
そんな危うい道を選んで行く程
私は馬鹿ではないと思うだらう?
洒落た靴音と
きらきら光る袖口の釦
意味も無く着飾って
他意の無い笑みを浮かべる君に
噫、君に
君が好きだと云ってみたら
その細い眼、なお細くするだらうか
嗚呼、可愛さなんてこれっぽっちも無いね
私は馬鹿ではないと思うだらう?