浮雲
未だ見ぬ兄者は妾が赤子の頃に
遠い御国へ行きさった
帰らぬ兄者を待てず母上様は
昨夕果敢無くなりさった
後見亡くして憂き世さ迷うよりも
宝護れず悔やむだけ
遥かな道程堪えて兄者を追うも
面影一つ残らずに
通行く童に尋ね着いた宿は
兄者が既に去りし後
諦め切れずに生き別れし御父に
頼るも疾うに死にさりし
疲れて見上げし空に懸かる浮雲
妾の命例へけり
未だ見ぬ兄者は妾が赤子の頃に
遠い御国へ行きさった
帰らぬ兄者を待てず母上様は
昨夕果敢無くなりさった
後見亡くして憂き世さ迷うよりも
宝護れず悔やむだけ
遥かな道程堪えて兄者を追うも
面影一つ残らずに
通行く童に尋ね着いた宿は
兄者が既に去りし後
諦め切れずに生き別れし御父に
頼るも疾うに死にさりし
疲れて見上げし空に懸かる浮雲
妾の命例へけり