鴉鷺
漆黒の翼で無音を造り出す
月の光を忌み嫌うように
桎梏はもっと緊く緊くして
自由は私の目の届かぬ所へ遣って
哀しい運命を背負ったその背中に
私を乗せて連れて行ってよ
貴方を思い出せない時代へ
皓白の羽毛で私を包んでる
夜の終わりに怯えてるみたい
黄白にもはや価値なんて無いわ
私が欲しい物は届かぬ所に在るの
寂しい宿命を担ったその爪で
私を掴んで連れて行ってよ
貴方を忘れられる時代へ
私の両の眼には色は映らない
光と陰だけが入り交じる向こうに
貴方の姿だけがはっきり見えた
苦しい道程を選んだのは私で
他の誰でもないのに悔しい
相容れないことを悟りながらも愛した
私をどうか連れて行ってよ
灰色に色が変わる時代へ