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「崩す」という技術

 書道家の字を「汚い」とか「読めない」とか言う人を見かける度に、素人の落書きとは違うんだと言っているだが、なかなかうまく伝わらない。
 書道に限らず、音楽でもなんでもそう。芸術はあんまり理解してもらえない。

 私は「おそ松さん」の1期のオープニングを聴いた時に「この曲は凄いな」と思ったんだけど、言葉でどこがどう凄いかって言えないんだよね。
 音楽は一応ちゃんとやってたけど、音大とかに行ったわけじゃないし。

 少なくとも、

  • めちゃめちゃな内容だけど脳内BGMとして回り続ける点
  • じっくりと歌詞を眺めてみると色々と考えさせられる点

については、自分がやっててなかなか出来ないところなので、やっぱりそういうのが出来るのが凄いとは思うんだけれども。

 そんな事についてぼんやり考えていたら、思い付いたのが、「崩す」という作業はそもそも何かが完成していないと出来ない、という事だ。

 私自身、作詞作曲をしているのだが、ほとんどが詞先制作だ(たまに鼻歌作曲で同時という事もある)。まずは歌詞を書く。
 自分では、何かテーマが無いと曲が書けない(モチベが保てないという意味で)からだ、と思っていたのだが、まあモチベの問題なので、いつか曲先でも書けるだろうと思っていた。けど結局、(インストを除いて)曲から作ったやつなんて一つも無い。

 よくよく考えると、自分は曲に合わせて歌詞を「崩せる」ほど、器用じゃないんだろうなあと。
 詞先だと歌詞を作る時に一番と二番で字数を揃えたりするけど、多少のずれとか韻踏んでないとか単語の句切れがおかしいとかは気にしない。多分これは、自分は旋律の方なら「崩す」事が出来るからだ。ちょっとくらいメロディーが違ったって、なんとか一つの曲にまとめる事が出来ると思っているからだ。

 理論通り、マニュアル通りに、万人受けする整ったものを作る事は難しい。緻密で繊細なものは、素人目で見てもそれなりの技術が必要だと解る。
 けれど、それを更に「崩す」という事は、同じだけの、あるいはもっと技術を必要とする事なのだ。

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