【書籍紹介】よくわかる作詞の教科書

 作詞本のレビューです。

3行まとめ+α

  • プロの手法が具体的かつ簡潔にまとめられている、初心者向けの本
  • 各セクション2ページ完結で読みやすい
  • 結局どんな歌詞が売れるのか? については他の本も参考にすべし

 この本を読んでも「まだ手が付けられない」と言うなら、実は本気で作詞をするつもりなんて無いのでは? というくらい余すことなく様々な手法に触れられています。

手法(テクニック)紹介に重点を置いた本

 作詞本というのは著者によって本当に書かれている内容がまちまちで、実際、プロの世界であっても人によって取る手法が異なる事を示しているのだと思います。
 そんな中、この本についてはあくまで「商業音楽として体裁の整った歌詞を如何に作るか」に着目して書かれていると感じました。

 一見すると精神論に思える記述も多いのですが、その根本にあるのはあくまでマーケティング。
 聴く人の為、歌う人の為…実は「誰かの為」というのは価値提供の原則ですから、商業作詞家であれば当たり前にこなすべき事なんですよね。

 しかし、「自分は商業は目指していないので、じゃあこの本は向いてないのかな」とは思わないでください。
 自分の表現したい事を形にする上で必要となるテクニックについても、たくさん書かれています。
 それに、商業作品でなくとも、大衆にヒットする作品に共通する性質というものがあり、それを学ぶことはできます。

他の本には無い記述が多い

 作詞の手法本は、手法本と言っておきながら具体的にステップを踏んだ手続きや、日々のトレーニング方法は書かれていない事が多いです。
 しかし、この本には練習問題も多く、日々の心がけについても記載がされています。

語彙力・表現力について

 歌詞に限らずですが、一般には「聞き手(読み手)にわかりやすく、覚えやすく」が求められる事が多い商業の世界。
 その為、他の本では「難しい言葉は使わず書きましょう」といった旨の事が書かれている事が多いです。

 しかしこの本は、その事を言う前にまず作詞者の語彙力を鍛える事を推奨しています。
 字数に合わせて伝えたい事を詰め込まなければいけない作詞作業には、どうしても比喩表現(特に隠喩)が必要で、それを行うにはやはり言葉の引き出しが沢山ある方が良いからです。

 日々の暮らしの中からネタのストックを作っておく。
 具体的なトレーニング方法については割愛されているものの、そういう姿勢の本なので好印象が持てました。

 ある程度の理論はありつつも、それを覚えるより先にたくさんの歌詞に触れる事を勧めています。
 恐らく著者自身、作詞の手法に確固たる理論が存在しない事は承知の上なのでしょう。
 自分自身の手法を紹介しつつも、「伝えたい事」「伝えたい人」を軸として作品を作る事を基本としています。

 ここでトレーニング手法として、既存曲の歌詞の書き起こしが紹介されています。
 私も自分で歌詞を書くようになるまでは結構やっていたので、結局あれが練習になっていたのだなと懐かしく思いました。

その他の珍しく思った記載

  • イラストによる説明が多い
  • 母音と子音の話。言い回しを考えたり、音数を数えたりする際に重要なのだが、意外と他の本には書かれていない
  • 物語を歌詞の中で説明するテクニックが具体的
  • 歌詞の文章の表記やレイアウトについて

 書き上がった後の推敲作業だけに一章を割いているのも珍しいと思いました。
 著者の歌詞のクオリティに対する意識の高さが感じられます。

 逆に書かれていなくて珍しいと思ったのは、フレーズごとの文字数の話ですね。
 商業の場合は曲先が殆どで、割り当てが決まっているからというのもあるでしょうが、伝えたい事をベースに余分な情報を削っていくテクニックの紹介に紙面を割いているように見えました。

まとめ

 正に「教科書」として相応しいと思いました。

 ただ、この本は前述の通り「商業音楽として体裁の整った歌詞を書く技法」に重点を置いています。
 具体的にどんな歌詞がヒットする(人の心に刺さる)のか? という点についても書かれていないとは言いませんが、よりネタの幅を広げたり、具体例を見ながら学びたい場合には、他の本も併用するのが良いでしょう。

 作詞初心者であれば一読の価値ありです。

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