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倫理観の欠如と権利主張の構図

 これは別サイト・別名義で公開していた記事をコンテンツ移転してきたものです。移転にあたり内容を修正しています。


 久々に真面目な話でもします。でもまあ専門家じゃないので若者の戯言程度に。

 今日の話は最近話題の「捏造[ねつぞう]」「改竄[かいざん]」「剽窃[ひょうせつ]」についてです。もう少し身近な言葉で言い直すと、「でたらめ」「改変」「盗作」と言ったところでしょうか。
 マスメディアで取り上げられているのは(事件が事件だけに)科学論文に関する点のみですが、よーく考えると芸術(イラストや音楽)分野でも同様の揉め事が、小さい規模で多発しているのです。
 私自身、趣味で創作活動をしていて、その繋がりから色々な事例を見てきたので、比較して議論したいと思います。

「悪い事だと思っていなかった」

 さて、某渦中の方が仰っている言い訳はこうです。
 一方で「画像の加工やコピペ等もってのほか! プロの研究者としてあり得ない!」といった専門家や一般人の声もあります。
 此処で私が議論したいのは、捏造や改竄が本当に悪い事なのかどうかではありません(私の意見については後述します)。某渦中の方がそれを悪い事だと認識していなかった点についてです。

常識は個々人やコミュニティによって異なる事を認識すべき

 私達がよくやってしまう事に「そこは○○だろJK」の様な自分にとって当たり前の事は他人にとっても当たり前であるという信念に基づいた押しつけがましい会話があります。
 ですがこれは狭いコミュニティ内ではある程度成り立ちますが、考えているコミュニティや構成員数が大きくなり、それぞれが持つ背景が多様化すればするほど成り立たなくなる信念です。

 某渦中の人がそう言うのなら、それは彼女にとっては真実なのでしょう。
 彼女がどういった研究生活を送ってきたのかは憶測しかできませんが、どうやら同じ研究室出身の方の博士論文も色々と酷いようですし、もしかしたら教育上の問題があったのかもしれません。

 マスメディアやネット上では「捏造・改竄けしからん」組が某渦中の人を叩く構図が出来あがっているみたいですが、実はアマチュア創作活動・二次創作活動をしている人達は(私は今の所まだ遭っていませんが)反対方向の被害に遭っています。

「当然ですが」捏造・改竄・剽窃は悪です

 此処で私の立場をはっきりとさせておきましょう。学術的な事にしろ、芸術的な事にしろ、嘘をついたり他人の名誉を横取りする様な事は許しがたい行為です。
 学術・芸術の分野では「世界で最も早くそれを行った(作った)人」が一番偉いのです。ノーベル賞は必ず「発見者(発明者)」に与えられますし、絵画の複製はオリジナルと同じ価値を持てません。Google先生ですらネット上の重複コンテンツには厳しいのです。
 ですからその最初の人が受け取るべき名誉や資産等を奪い取る様な「剽窃」「盗用」「盗作」「自作発言」「コピペ」というものは私にとっては悪としてしか捉えられません(但し適切な「引用」は除きます)。

 …と思っているのですが、前述の通りこれは私にとって「当然」ではあるものの、世の中にはこれらの行為に対して全く罪悪感を抱かない人達がかなり居るのです。
 アマチュア創作家や同人作家を悩ませているのが、「無断転載」と「自作発言(またはなりすまし)」です。

何故アマチュア創作家だけが悩まされるのか

無断転載の怖い所

 この問題は毎日、世界中のあらゆる場所で起こっています。
 具体例を出すと、アマチュア創作家(暫くの間、書くのが面倒なので同人作家さんもこの単語でまとめさせてください)が自分の作品(例えばイラスト)をネット上に公開したとします。すると、その絵を気に入った誰かが「この絵良いよね!」とその画像をコピペしてTwitterなんかにペッと貼り付けて共有してしまうのです。
 「これは○○さんの書いた絵です。このサイトから持ってきました」と一言書いてあればまだマシなのですが、問題なのは作品が作者不明のままネット上をどんどん拡散してしまう事です。作者不明という事は、その作品を作った人が「世界で最も早くそれを作った人」が受け取るべき名誉等を受け取れません。勿論その作品の利用規定等もわからないまま拡散されますから、二次的、三次的にその作品を見た人が素材利用や改変、商用利用、或いは悪用など、作者(著作権を持つ人)が望まない利用の仕方をする可能性があります

 自作発言の方は更に性質が悪く、完全に権利の横取りです。

無名である程被害は大きい

 此処で少し同人創作についての話をしたいと思います。此処で私が同人創作と言っているのはいわゆる二次創作活動で、何か元になる作品のキャラクターや設定を使って新たな物語等を創作する活動の事です。
 本来、著作権法的にはオリジナルの制作元が許可していない限りNGなのですが、漫画・アニメ業界やゲーム業界では比較的黙認されているようです(※著作権侵害は親告罪)。某夢の国の会社なんかはとっても厳しいです。あとは音楽業界も(某○ASRACが)厳しいですね。

 これ、何故黙認されているかというと、まあ制作者側の厚意なんです。彼等は法的に権利を有していますから、訴えれば日本中の同人作家の活動・営業をやめさせて損害賠償を取る事だって可能です。でもそれをしないのは、同人活動自体が既に大きなマーケティングと化している事や、数が多過ぎて一々訴えていられないのもあるでしょうが、以前ある制作側の方がTwitterで呟いた所によると「自分達の作品を好いてくれるのは嬉しいので黙認している」という事でした(ソースが無くてすみません。でも割と多くの方がそう思っていらっしゃるようです)。

 この様に法的に守られていて、いざとなったらいつでも訴えられる経済的なバックアップがあって、なおかつ作品自体の知名度、その制作者の知名度が高いほど、多少作品を改変して頒布されたり無断転載されてもダメージが少ないです。例えば私がミッキーの絵を書いて「このキャラは私が考えました」とこのブログで言ってみた所で、「いやそれディズニーだから」というマジレスが飛んできて御用となるだけですね。

 では、これがアマチュアの方の作品だったらどうでしょうか。例えば私はオリジナル曲を作って発表していますが、その曲について私が「私の作品です」と言っても信じてもらえないかもしれないし、全く関係の無い人が「いや、私の作品です」と言ったらそちらが信用されてしまうかもしれません。
 知名度が低いと、自分の作品が自分のものであるという事を証明する事すら難しくなるのです。ですからアマチュア作家の方々は声を大にして「無断転載反対!」と毎日訴えてらっしゃるのです。

何故人々は転載したり嘘をついたりするのだろう

 前述の通り、著作権者はその作品が作りだす名誉や資産を受け取る権利を有しています。その権利を自分が持っていると(嘘でも)主張して認められれば…と盗作したりする行動については、賛成は出来ませんが解らなくもありません。
 ですが、一番問題なのは無断転載や加工・改竄を良かれと思って行う層が存在する事です。

何かを得る為にはそれなりの努力が必要である

 またまた某渦中の人の話に戻ってしまいますが、彼女が訴えているのは「自分に悪気は無かった」という事です。この主張、他人の作品を適切な引用元の表記無しに拡散したり、加工して利用したりした方が良く使う言い訳でもあります。
 「この絵が好きだからもっと広まって欲しかった」「トリミングした方が見やすいと思った」はまだ可愛い方で、酷い時には「私が使ってあげたから有名になれたでしょ?」とか返してくる人もいます。いやはや(私の作品はほとんどが元々二次利用可能ですが)こんな人には使われたくない…。

 どうして彼等には無断利用(利用規定を無視した利用)や盗作が悪だという倫理観が無いのでしょうか。
 実は、こうした無断転載などを行う人達は、自分では創作活動を行わない・行えない人がほとんどです。時々、盗作や無断利用をしつつ創作活動を生業とするクリエイターの風上にも置けない人が居ますが、それはごく一部です。多くは、「あ、この絵良いな、Twitterのアイコンにしちゃお♥」と軽い気持ちで行っているのです。

 要は、そういった人達は「生みの苦しみ」というものを知らないのです。
 例えば私の場合、たった5分間の曲を作るのに、トータルして30時間程度の作業時間が必要です。歌詞を考えるのに3時間、主旋律の作曲に5時間、オケやボーカルの打ち込みと録音に20時間、仕上げと公開の手間を考えるともっとかかっているかもしれません。作曲をし始めてから5年経ってようやく他の人にカバーして頂けるような曲を作る事が出来ました。私は絵は描けませんが、イラストだってそんなにすぐに描けるものではありません。緻密で美しい絵ほど手間がかかっていますし、まずその様な絵を描けるようになるまで何年もの練習が必要なのです。

 そのような経験をした事が無い人は、数多居るアマチュア創作家の作品なんて毎日いたる所にアップされ続けているものだから、何の罪悪感も無くコピペしたり切り貼りしたり出来るわけです。少なくとも少しでも創作活動をした事がある人は、他の人が作った作品を尊重して、プライドもありますし盗作や無断転載等は行いません。

 少し芸術の話に傾きましたが学術的な事に関しても同様で、他の人が長い時間をかけて研究した成果をコピペして引用元も示さず自分の論文にするなんていう事は他分野の学生の私ですら絶対悪だと言い切れるくらい言語道断な事なのです。

倫理観の欠如の責任は何処に

 あまり教育制度の所為にばかりしたくないのですが、やはり学校でこういった事を教えていない所は一応責めておくべきでしょう。
 全体的に創作をさせるカリキュラムが少ないとは思いますし、正しい引用の仕方なども大学に入ってレポートを書く時にようやく習ったり自分で調べたりしたような記憶があります。

 今回はあまり触れませんでしたがデータの改竄もかなり子供や大学に入りたての学生はやってしまいがちです。特に化学の実験ノート。私は大学の化学実験で書き方をしっかりと教えられましたが、某渦中の人の大学ではもしかしたら軽視していて(あるいは「当然」知ってるよね的な感じで)きちんと教えていなかったのかもしれません。
 物理でもどこまでをノイズやエラーとしてデータを切り落として解析するかが重要で、あまり都合よくやり過ぎると捏造や改竄と言われても仕方ありません。

 そもそも無断転載や盗作等は「泥棒」ですのでもっと悪い事だという認識があっても良いと思うのですが…知的財産に関する知識や教育が日本には不足しているのかなと思います。