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思いどおりに作詞ができる本

 先日からTwitterでべた褒めしていた本ですが、最後の実例の章以外は改めて読めたのでレビューします。実例についてはこれまでの内容を振り返りながらゆっくり読みたいので。

ざっくり客観的な説明

  • 著者は「♪ウイスキー~~は お好きでしょ」の詞を作った人
  • 基本的には商業・プロを目指している人向け。音楽知識は必要ですが、巻末に簡単な解説付録があります
  • 薄い本ながら、基礎的なところから実例まで豊富

 久々に「買って良かった!」と心から満足しました。
 本ってどうしても自分には不必要・既知の情報が多くて、半分くらい新規インプットになれば良い方なのですが、この本の内容はほとんど新鮮でした。他の作詞本は読んだ事が無いのですが、この本にもあるように「論理的に作詞する」という事をしっかり書いているのは少ないんじゃないでしょうか。

感情で作詞してしまっている人に読んで貰いたい本

 「歌詞くらい自由に書かせろ!」「歌詞は表現の肝なんだから指図されたくない」という人は多いと思います。私もこの本を読んでいて、何度もそう思いました。でも、そう思ったらこの本の前書きを読み直してください。前書きの段階で「この本は期待できるな」と思ったのも久々でした。

 この本にも書かれていますが、作詞って決まったやり方が無いんですよね。私も以前自己流の書き方を記事にしましたが、この本の内容と同じだった部分もあるし、全然違った部分もありました。
 あくまでこの本に書かれているのは著者やその他一部の作詞家が使っているテクニックにすぎません。全然違った方法で作られて売れた曲もこの世にはあるでしょうが、一方でこの本のセオリー通りに作られてヒットした作品が数多くある事も事実です。
 「思いどおりに作詞ができる」というよりは、「こういう書き方をすると伝わりやすい歌詞が書ける」という感じです。難解な歌詞が書きたい人は別に好きに書けば良いと思いますが(私もどちらかとそういう性質)、リスナーの一般的な受け取り方を学んでおくという点では非常に読む価値があります

プロを目指すなら読んでおくべき

 ごく簡単にですが、音楽業界のシステムや印税の受け取り方の話もあるので、プロになりたい、あるいは興味がある人は入門書として必読。
 勿論、メロディーや音色との兼ね合い等についてもちゃんと書かれていますので、全部一人で作っているボカロPにも為になります。作詞家ではなく歌手を目指す人にも良いかと。
 作詞の本ではありますが、常日頃の取材や、考えの表し方など、作詞に限らず人間的な成長に繋がるポイントも序盤には多く書かれています。

 あと、やはり商業音楽は曲先制作がほとんどらしいですね。
 序盤は心構えの話が多いですが、3章以降はテクニカルな実践的内容になります。ユーミンはやはり神だった…。

「ボカロ曲」がいかにセオリーから外れているか

 読みながら思い返していると、自分の曲を含め、いわゆるニコ動系の曲は(ヒットしていても)このセオリーに乗っていないのが多い印象を受けます。
 ボカロ曲の場合は動画(文字列)がセットで見られる事が前提なので、例えばこの本に載っている「字面よりも音を気にせよ」といった旨のセオリーはそのまま当てはまらない場合もあります。
 でもそれよりは、寧ろリスナーが歌詞をあまり聴いていないのでは…という勝手な偏見を抱いています。歌詞の良し悪しよりも曲の勢いでほぼ決まる世界という感じが…まあ本に関係ない話だからこの辺で。

まとめ

 そろそろ手癖で歌詞を書くようになってきた、いつもありきたりで困る! という人は読んでみると歌詞に対する考え方が変わってブレイクスルーになってくれそう。
 一方で、かなり論理的に歌詞を作る事を解説していますので、他の人の作品を鑑賞する際に知識が邪魔をするようになってしまうかも…(例えば、この曲はここがセオリーと違うなあとか考えながら聴いてしまうようになるかも)。作詞に限らず、何かの知識を付けるとそうなってしまうものですが。私は一度演劇と音楽の知識を消してオペラ座の怪人を観劇したい。

 話が逸れましたが、総評としてとても良い本です。この手の作詞本他にも出ないかなあ。既にあれば教えてください。