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ミュージカル『刀剣乱舞』三百年の子守唄 感想

 ニコ動で生放送をしてくださったので、1部(ミュージカルパート)のみ観ました。
 結論としてやはり「not for me」という感じなのですが、一応観劇メモとして所感を書いておきます。ネタバレは折り畳んであります。

全体的な所感

 あんまり細かい事を気にしない人向け
 刀ミュは『阿津賀志山異聞』の時もだいぶファンタジーだな…と思ったのですが、今回は完全にファンタジーでしたというか、リアリティを求めてはいけない物でした。

尽きない疑問点など(ネタバレ有)
  • 死んだ家臣達の家族とか子孫とかどうなるの…?
    親子テーマなのに家康と信康以外はどうでも良いんかなと思ってしまう…
  • 刀剣男士何十年も過去に留まってて良いのか?
  • ていうかその間にれきしゅーもけびーしも襲ってこないのどういう事なんだ…
  • 刀剣男士歳取らないっぽいけど、あの服装は怪しまれないの?
    舞台だからある程度は仕方ないけど、せめて羽織を重ねてそれっぽくして出て来るとかなんとかならなかったのかなという感じ

 ご都合主義に煩くない人でも「話としてはちょっと…」と言ってしまうみたいなので、刀ステの様に緻密な伏線回収を楽しみにしている方には向いていません。

 プレ垢じゃないので2部(ライブパート)は観ていませんが、こっちは相変わらず楽しめるんじゃないでしょうか。現場のノリは苦手なので配信なら…。

良かったところ

 キャラごとの感想は後で。

  • 殺陣が良かった。刀ステの様に上手い人が技術の限界ギリギリをやるという感じではないですが、全員全体的にちゃんと出来てる
    蜻蛉や石切丸の様に長い刀剣も振付のキレが良かった
  • 歌も良くなってた! ダンスやただ歌うだけのシーンは少なくなっていたのもGood
  • 『刀剣乱舞』は刀剣によって歌詞を変えてくれる
  • 舞台装置と小道具と衣装。金の力を感じる。特にウィッグが良かったです
  • 思っていたよりビジュアルが良かった。キービジュで劣化する問題は此方にもあったか…
  • プロジェクションマッピングとのタイミング合わせは流石
  • 子役の子が上手かった
  • 必要以上に刀剣同士で絡まないので、変な(CP)フィルターがかからなくて良い
    BL嫌いな人にも安心安全の刀ミュ

気になったところ

何処をどう見れば良いのかわからない
一言でまとめるとこれ。ストーリーもそうだし、まとまりが無いなと思いました。
メインテーマや伝えたい事は解ったのですが、それで心を動かしてもらうには演出や言葉が足りていない感じ。
間が長い
黙ってる時間多すぎない…? 勿論、黙って語る演技をしている部分はそれで良いのですけど、それにしても間が長すぎる印象。
構成も冗長
OPまで20分も費やす(その間に2曲も挟む)のも、どうかと思いました。
もっとテンポよくやれば1時間半くらいで収まるのではないかと思う程度のストーリー展開。他の方の感想で「暇すぎて天井を見ていた」というのを見かけましたが、まさにそれ。話に見せ場が無いし、そこまでの時間が長すぎて飽きてくる。正直私も観てる間何回もあくびしてしまった…。
刀剣乱舞と歴史の知識が必要
未プレイ観劇組はお呼びじゃないんでしょうかね。
それはそれで良いんですが(2.5次元だし)、歴史上の人物の名前が覚えられなくて「今誰の事を指して話を…?」と混乱しかかりました。

 安定が好きなので『幕末天狼傳』も折を見て観たいと思っているんですが、同じような調子だと嫌だな…という感じ。まだ『阿津賀志山異聞』の方が面白かったです。
 「刀ミュも『阿津賀志山異聞』の頃に比べたら歌も上手くなった」等という口コミを聴いていたので(実際歌は良くなってた)、少し期待外れでした。

刀剣男士

石切丸

 今回の座長だったんですかね?
 直接徳川に関係があった訳じゃないと思いますが、語らずに背負おうとする演出は良かった。ただ、最後に皆がその負担を軽くしてくれようとしたのに、結局皆の力ではなく別の事で背負う必要がなくなるという展開は「何の為の演出だったんだ…?」という感じで不完全燃焼。

物吉貞宗

 一応推しなんですが、思ったより話に絡んでこなくて残念。ただの占いお兄さんじゃないか(いやまあいつもそうだけど)。
 家康公が好き! というのは良いんですが、ちろっとでも良いからどうしてそんなに好きなのか説明シーンがあると良かったなあ…。無いなら無いで、理由なんかどうでも良くなるくらい想いの丈を表現してほしかったです。

 ビジュアルはほんとに良かったです。特に最後の家康とのシーンと泣きの演技。次に出てくる時まだ鼻ぐすぐす言ってましたね。

千子村正

 個人的に一番好きです。歌も上手いし常に動きがクネクネしてて凄かった。出て来るだけでギャグになる…。
 青江と並ぶと「おっエロ担当同士でパワーアップか?」と思いきや青江が意外とまともーーー!!

 話の本筋に積極的に絡んでいく役じゃないのに一番ソロが多かった。ソロが無い刀剣男士が居る中、少々バランスが悪いような。

大倶利伽羅

 解釈違いという程きちんと解釈しているキャラではありませんが、刀ミュの解釈もこれはこれで良かったです。
 但しこの面子(と徳川という背景で)大倶利伽羅突っ込んでくる理由が不明確だし、この倶利伽羅の良さを出し切るにはストーリーや演出が今一歩という感じ…。前情報があったので解ったけど何も知らずに観て1回で理解できるかと言われるとどうだろう…。

 ビジュアルや殺陣はステ倶利伽羅よりミュ倶利伽羅の方が好きです。

にっかり青江

 時々(特に序盤)「この人ただ喋ってるだけじゃない…?」という感じの演技に聴こえていました。
 にっかりは飄々としていて声を荒げたりしないので難しいと思うのですが、棒に聴こえるのはちょっとなあ…。大半のシーン気になりませんでしたけども。

蜻蛉切

 ビジュアル完璧でしたし力持ちな所も凄かったです。良い蜻蛉さん。特に言う事は無いです(誉め言葉)。

作品情報

 DMMにてアーカイブ配信中。

 円盤はこちら。

追記:なんかもやっとしたのが取れなかった

 クオリティ的には及第点だったんですけど、なんでこんなに観た後もやもやするのかな、と思っていたら的確な指摘をされている方がいらっしゃいました。

 多分この辺が話の大筋と矛盾しているからでしょうね。
 感想を観ていると「みほとせが一番良かった」という意見もよく見かけるんですが、私はこれが遠因でなかなか感情移入が出来ず、結論として「あつかしの方が面白かった」という感想になりました。

 此処から先ネタバレ折りたたんでないので注意。

 今回の話は「馴れ合わない倶利伽羅」と「一人で背負い込む石切丸」というのが一つのテーマになっていると感じましたが、まずその二人を対立させる事が間違っているような。
 引用させて頂いた方が仰る様に、大倶利伽羅の「傷付きたくないから馴れ合わない」というのは一つの価値観・防御反応であって、正当な理由無く批判されるべきものではない筈です。

 しかし作中では石切丸がそんな倶利伽羅と刀をぶつけ「軽い」と発言する。
 石切丸の主張が「歴史を変えてはいけない」「人を殺してはいけない」レベルの(物語における)絶対的倫理観に基づくものならともかく、「協力して任務をこなそう」レベルだったので「ああ、ここは(脚本・演出が)石切丸にそう言わせたかったんだな」と感じてしまいました。
 実際、大倶利伽羅はその後徳川に膝を折るし(私には心情の変化が理由ではなく流れ上仕方なくに見えた)、村正だって家臣の芝居には協力していませんでした。
 途中、(刀が)「重くなった」と倶利伽羅が成長したとも取れる石切丸の発言もありましたが、上記の捉え方をしたのでいまいち倶利伽羅が何処を成長させたのか理解出来ず…。

 石切丸は石切丸で、全部抱え込もうとするし、何度も何度も青江の言葉を拒絶する。馴れ合ってない(心を開いていない)のはどっちだ感。
 前述の通り、それをちゃんと仲間の力で回収してくれれば良かったのに、それも検非違使出現で有耶無耶にされてしまう。
 石切丸の人間臭さを含めて描いた作品なら多少言動が首尾一貫していなくても良いんですが、ならば投げっぱなしではなくちゃんと回収してほしかったです。
 立場の弱い大倶利伽羅が一方的に歩み寄っただけの様に見えました。

 話がファンタジーすぎる事や、物吉などのキャラクターが全く掘り下げられなかった事よりも、多分この「脚本や演出の為にキャラクターがおざなりにされている事」が一番しんどかったのだと思います。

詳細

 私が心情描写を読み取るのが苦手なだけなのかな…とも思ったのですが、あのほとんど動きも台詞もない場面から読み取れというのは少々観客に期待しすぎじゃないだろうか。
 舞台では大半の人が役者の表情なんて確認できない席に座っています。舞台というのは何回も通う事を前提に作られるものではないとも思っています。

 「観る側の読解能力を高く見積もって作ってもらえて嬉しい」という意見も見かけましたが、刀ミュってそういうスタンスで作られてるんでしょうかね? どちらかというとアイドルや歌手のライブは観るけど演劇舞台はあまり観なれていない層をターゲットにしていると思っていました。

 私の場合は「軽い」の演出で、その後全ての心情描写が「軽く」見えるようになってしまいました。
 もちろん現場で見た訳じゃないので、実際には俳優さんの気迫とかでもっと面白かったんだと思います。
 でも、どうにも「ミュは心情描写が良い」みたいな話ばかり聴く割にこれか…感が否めません。

余談

 別に話の為にキャラの演出を変えるのは構わないと思う。おざなりにさえしなければ。
 最たる例がステ倶利伽羅だと思う。あの解釈は合わなかった人も多いだろう(私も別に合ってはいない)。
 でも、彼の場合は少なくとも作品中ではそのキャラクターが一貫していた。だからこそあの展開が許されている。

 ミュ倶利伽羅も一貫してたけどね。矛盾があった&不完全燃焼を起こしたのは石切丸。