Jacket

レイル上の怪談

その音は今夜も響く
鳴る筈のない
内容も無い
明日[あす]は誰が続くだろう
受話器を置いて
首を傾げた

覚束無い足元
揺れは酷く執拗
無数の並んだ顔を
一つ一つ覚えていく

名前だけは明るいだろう
神話さえも掲げられた
僕の足は走る走る
僕の意図とは無関係に

その音は今夜も響く
鳴る筈がない
誰も鳴らせないのに
昨日旅立った人は
何処へ行った
行きたかった?

繰り返しの径路を
何処かで見た景色を
残しておきたくもない
全て全て忘れていたい

君にだけは教えてあげる
怪談など好きじゃないか
道連れにはなるな のるな
僕が言えるのはそれだけだ

その音は今夜も響く
鳴る筈のない
内容も無い
明日は誰が続くだろう
受話器を置いて
秘かに祈る