第3章:同じ場所、違う景色

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「今日のドランクの仕事のおかげで、この町は平和だ。多分、明日も」
「そりゃあ、攻め込めるような力は残してあげなかったからねえ」
 ドナの言葉をかいつまんで話した後、スツルムはドランクの頬に伝う雫を拭う。ドランクはされるがままにしていた。
「にしても、良い事言ってるのがドナさんなのがなんとなくムカつく」
「お前、ドナのこと目の敵にしすぎだろ」
 とはいえ、かといって二人が仲良くなると、面倒で鬱陶しい奴等が相乗効果で何倍ものうざさを発揮しそうだ。スツルムは、それはそれで嫌だと思う。
「それにしても、ドナさんってどういう経緯で傭兵になったの?」
「えっ」
「えっ。そんな驚かなくても」
「し、知らない。ヴォルケにでも訊け」
 仲良くなってほしくない。その気持ちに単なる嫉妬も含まれている事に、スツルムはまだ気付いていない。
「そうする。そろそろご飯食べに行かない? 外出れそう?」
「ああ」
 ドランクはスツルムが着替える間、窓の外を見下ろす。
 人が居る限り争いは生まれ、争いがある限り人は死ぬ。きっと全ての人類を滅ぼすまでそれは続く。
 だから自分に出来る事は、誰かの代わりに戦う事。今守ると決めた人や物を守り抜く事。
 そう思うと、背負っているものが今日は少し軽く感じられた。


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