第3章:意識しちゃうジータちゃん

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  • 5742字

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初登場ドランクが理想の最強ミステリアスお兄さんムーブしてたり。
霧の島の話までは入っています。


「暫く此処で大人しくしててくれよ」
「まだ連れてくるのか? もう今日は二人目だぞ」
「たまには両手に余る楽しみも乙なもんよ」
 目隠しをして口封じをされ、手も後ろ手に縛られたドランクは、何処か硬い床の上に置き去りにされた。建物の扉が閉まり、錠がかけられる音。波の音がする。海辺の倉庫か何かか?
 いくら女になったからと言って、ドランクがそうそう一般人に捕まる訳が無い。それでもこの状況に陥った理由は二つ。
 一つ目。あの二人組は一般人じゃない。
 二つ目。ドランクもそれに気付いてわざと捕まった。図書館で新聞を読んでいて、目当ての情報とは関係無いが、気になるニュースがあったのだ。
 ドランクは魔法で手首の縄を焼き切る。上腕を胴体に縛り付けていた紐は、氷の刃を錬成して断ち切った。目隠しと猿ぐつわも外すと、案の定、倉庫の中だった。
 男達は、今日はドランクで二人目だと言った。という事は、もう一人此処に捕まっている。
 普段なら頼まれていない事はしないが、気付いたのに放置して被害者が増えるのも寝覚めが悪い。
 音を立てない様に注意しながら、暗い倉庫の中を探る。居た。
「声出さないでね」
 捕まっていたのはエルーンの少女だった。目隠しを外してやり、縄を切ったところで、倉庫の鍵がガチャガチャと鳴った。
「何処かに隠れて!」
「ん?」
 少女は物陰に隠れる。倉庫の中に夕陽が差し込んだ。
 扉を開けたエルーンが、自由になっているドランクを見て首を傾げる。
「動いてる気配がしたから来てみれば。おいお前、縛り方弱かったんじゃねえか?」
「えーそんなことないよ」
 ヒューマンの男がへらへらと笑う。ドランクも口の端を吊り上げた。
「うん、ちゃんと縛ってあったよ」
 持っていた氷のナイフを構える。夕方になって気温が下がって来たから、こいつら二人を仕留める間くらいは保つはずだ。
「で? 何人沈めたの?」
 この夏、この地ではエルーンの女性が相次いで行方不明になっていた。
「ニュースになってるだけでも三人は沈めたよねえ? だって此処、死体の臭いも、他の人の気配もしないんだもん。さっきの口ぶりからするに、多ければ多い程良いって事でもなさそうだから、何処かに売り飛ばしてる訳でもないんでしょ?」
 男達が表情を険しくした。
「なんだお前……? 潜入捜査官か何かだったのか……?」
「違うよ。ただ、おたくもカタギじゃなさそうだから知ってるんじゃないかな。二年くらい前まで、僕は裏では『青い髪のエルーン』って呼ばれてたんだけど」
「ハッ、馬鹿言え」
 明らかに男達が動揺した。
「そりゃ、その姿を見た者は生きて帰って来ねえって噂だったが……」
「残された死体の傷から体格を割り出して、男の筈だって言われてたよ?」
「だから僕男だって言ってるよね」
 その声は、途中からフェリとは似ても似つかなくなっていた。

「図書館とは反対方向だな」
 ドランクが残していった宝珠をスツルムが握ると、ある方向に光が伸びた。まさか適当に光っている訳ではないだろうし、持ち主の居場所を指し示しているか、何らかのヒントには違いない。
 スツルムとジータ、そしてラカムは夕暮れの道を急ぐ。
「ん?」
 歩いている途中で、スツルムが止まった。ラカムとジータも足を止める。
「あっ」
 ジータもすぐに異変に気付いた。スツルムとジータの体が縮んでいく。
「時間が経てば戻るようになってたのか」
「みたいだな。悪い、服をどうにかするのを手伝ってくれ」
 スツルムはあられもない感じになってしまったので、ジータが布を集めて縛ってやるまでラカムは背を向けて目を瞑っていた。
「ジータ、お前も胸元気を付けろ」
 再び歩き出したところで、ラカムが忠告する。
「ヤダッ、ラカムのえっち!」
「見えそうだから注意してやってんのにその言い方はねえだろ」
「うるさい……とにかく急ぐぞ。ドランクもあの格好だしな」
「「あ」」
 そう言えばフェリ並みのミニスカだったような。三人は駆け足になるが、女性二人は靴のサイズが合わなくなってスピードが出なかった。
 着いたのは港の外れ、防波堤の近くの倉庫街。光は建物を貫通して真っ直ぐ指し示してしまう為、その場所を特定するのに三人はぐるぐると倉庫の間を駆け回る事になった。
「誰か居る」
 奥まった場所で、エルーンとヒューマンの二人組の男が、険しい顔つきである建物の中を見ているのを発見する。
 そしてその向かい側には、きつくなった服に顔を顰めながら、氷の短剣を構えているドランクが居た。


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