第8章:業

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  • 3514字

 安定は足の裏を廊下に付けないよう、四つん這いで自分の部屋に戻った。清光は近侍だから居ない。暗い室内に蝋燭で明かりを灯し、手拭いで汚れた足の裏を拭いた。
 隣の部屋からは堀川と和泉守の話し声が聴こえる。こんな時間まで起きてるとは…と苛立ったが、清光のからくり時計を見るとまだ亥の刻だった。
 自分のスペースまで移動すると、どっと疲れが出てきた。丸一日、自分より大きな山伏を背負って歩いてきたのだ。鯰尾の件や今剣の忠告について考えようと思っていた意志は呆気なく崩れ、安定は自らの血で汚れた服のまま深い眠りに落ちた。


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