第3章:死する躰

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 コウが廊下をぱたぱたと駆けて来て、江雪の部屋の障子を開けた。
「どうかなさいましたか?」
「他の[]達は? 誰も居ないんだけど」
「心配は無用です」
 不安そうに部屋に入って来た審神者を手招きする。隣にちょこんと腰を下ろした審神者を、間髪入れずに押し倒した。
「此処には、私と貴方しか居ません。私の世界ですから」
 審神者の表情がみるみる内に絶望へと変わる。神隠し、と殆ど聞こえない声で言った。江雪は審神者の耳に口を寄せ、唇が触れそうな近さで囁く。
「これで思う存分、貴方の名をお呼びする事ができます」
 不思議と審神者は抵抗しない。隠されてしまった今となれば、何をしても無駄と承知しているのか。江雪はその名を口にした。
 私だけの世界で、私だけの為にその色を咲かせて。


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