聖夜のグランサイファーにて

  • PG12
  • 4927字

「……どうして布団が片方のベッドに……?」
 アオイドスの時計はベッドの下の奥の方に入り込んでいた。埃っぽい床から拾い上げて一息吐くと、部屋の状況が目に入る。
「この布団じゃ薄かったかなあ」
 予備が無いか探して来よう。そう思って倉庫へ向かうと、まだ封の開いていない酒瓶を抱えたアオイドスと合流した。
「どうしたんだ、こんな夜更けに。ん? やっと見つかったのか」
「ええ」
 経緯と事情を説明する。なるほど、とアオイドスは溜息を吐いた。
「はっきり言おう、グラン。布団の追加は不要だ」
「ええ? でも、寒いのかもしれないし」
「寒い訳ないだろう。君も大人になれば解る」
「そういうありふれた歌詞も書くんですね」
「今のは別に意見を求めていないぞ。年長者の話は聞きたまえ」
「わかりました」
 僕は酒瓶を一本取る。アオイドスは微笑んで礼を言うと、倉庫の扉を開けた。
「うわっ」
「えっ、何ですか?」
 直後に中から誰かの声がして、アオイドスが素早く扉を閉めた。
「どいつもこいつも……」
「アオイドス? 今誰か中に――」
「聞こえなかった!! 俺の部屋に来いグラン。酒は駄目だがボンボンくらいなら許されるだろう」
「チョコは欲しいですけど、え、あの、良いんですか?」
「放っておけ! 食べたら真っ直ぐ部屋に帰って寝るんだぞ」
 突然怒り始めた理由が解らず困惑したけど、アオイドスの買って来るお菓子は高級品でどれも美味しい。僕は置いて行かれない様に、慌てて紅い髪の毛を追った。


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