第2章:被検体「鶴丸国永」

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「僕の名前は穂村陽一。君の魂を預かる代わりに、この[なまえ]を預けるよ」
 七振目の鶴丸は、それを聞いても何も言わなかった。穂村が首を傾げていると、苦笑する。
「何故だろうなあ。その言葉は前にも聴いたような気がするんだ。分霊の記憶は無い筈なのに、可笑しいだろ?」
 鶴丸は自ら写しを受け取り、拵えに収める。
「それにしても、俺は随分信頼されてるみたいだな」
 喚び出されるまでは、六回も失敗して戻ってきた分霊の数に、不安と恐怖を感じていた。しかし、今にも窓から飛び降りて死んでしまいそうな程思い詰めた顔を見ると、自分の心配をしている場合ではない気がした。
 人間なんて、死んでもまた別の者が自分を欲しがるが、それでも。鶴丸は刀としての矜持を忘れたくなかった。自分は道具だ。持ち主の為に働く刀だ。その為には。
「俺も同じだけきみの事を信頼しないとな。……さあ、試験を始めるか」
 どの道、鶴丸にはそういう選択肢しかないのだから。


『創呪擦罪 骨肉相噛』がアマプラで聴ける事ご存知でした?
私は知りませんでした。