第1章:新生活

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  • 2487字

ティムへ

 いよいよ今日から中学生だ! これからママと入学式に行ってくる!

フェリックス

「良く似合うわよフェリックス」
 中等学校の入学式へ行く途中、母親に褒められてフェリックスは白い頬を紅潮させた。
 仕立屋である母が作ってくれた中等学校の制服は真新しく、サイズは当然ながら息子の背丈にピッタリで、真っ白なシャツが陽光に眩しかった。
「よーフェリックス」
 後方から誰かが走って来て、フェリックスの肩を叩いた。
「おばさんこんにちは」
 小学校からの悪友のボイス・ウッドだった。彼も、母の店で仕立てた制服をぎこちなく着こなしている。やがて彼の母親も追い付き、フェリックスの母親と世間話をし始めた。
「あれ? フローラは?」
 フローラはフェリックスの隣の家に住む幼馴染みだ。フェリックスはやれやれと肩を竦めて説明する。
「制帽を被る角度に凝っちゃってさ。もう何十分も鏡の前。痺れ切らして先に来ちゃった。その内キャロルおばさんに急かされて来ると思うよ」
「まあ、フローラの事だから遅刻はしないだろ」
「あんたと違ってね」
「なんだと~」
 ボイスとケタケタ笑いながら歩いていると、気付けば中学が見える所まで来ていた。「国立北中等学校入学式」と書かれた看板が校門の横に据えられている。
 フェリックスは歩調を緩めると、少しばかり緊張して唾を飲み込む。
「フェリックス」
 ボイスがフェリックスに拳を握って応援する仕草をした。フェリックスは頷く。
 また…新しい学校、新しい人々と沢山出会う。
 晩夏の風がフェリックスの真っ白な髪を揺らした。
(此処でも仲良くなれるかな)

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