PG12 6728字刀剣男士「鶴丸国永」 コウが本丸に帰って来たのは、日もとっくに暮れた宵の頃だった。前田も流石に疲れた様子で、解散を言い渡すといそいそと自分の部屋へ戻って行く。 執務室では一期が笑顔で出迎えてくれた。簡潔に今日のレポート
PG12 6778字鉄壁の襦袢 ある昼下がり、襖の隙間から顔を覗かせたコウに、江雪左文字は表情一つ変えずに応えた。 「何か、ご用ですか?」 「ちょっと出陣してくれない?」 「構いませんよ」 にこにこと楽しそうな審神者とは対照的に
R15+ 6312字ただ一つの選択肢 「おっ。今朝来たってのはお前か。へし切長谷部」 「長谷部と呼べ」 薬研藤四郎は旧知に微笑みかけた。煤色の髪の付喪神は冷たく返す。その様子を見て、鶴丸国永は事情を尋ねた。 「なに、長谷部は信長さんから
PG12 6955字西暦二二〇三年 三月 鶴丸国永は大きな蔵の中で踊っていた。ひらり、ひらり。上機嫌で着物の袖を翻す。揺れる髪はまるで雪の様に白いが、その顔は若者の風貌だ。陽が差さぬ蔵の奥には、薄く微笑みを浮かべてその様子を見る男の姿