PG12 6778字鉄壁の襦袢 ある昼下がり、襖の隙間から顔を覗かせたコウに、江雪左文字は表情一つ変えずに応えた。 「何か、ご用ですか?」 「ちょっと出陣してくれない?」 「構いませんよ」 にこにこと楽しそうな審神者とは対照的に
PG12 6052字初期刀 山姥切国広は、鏡で自分の姿を見て驚いた。金の髪、碧の眼、整った顔立ち。綺麗だ、と自分でも思ってしまって、慌てて頭の上の布を引っ張る。こんな姿を想像していただろうか。顔にかかる前髪を一房摘んでみる。思
G 4693字♥ 4しがみつく 私、なんで生きてるの? その少女は、ふと、足を止めた。主要な駅と駅とを繋ぐ乗り換え通路の真ん中で、人混みの中立ち止まった彼女に、後ろを歩いていたサラリーマンが悪態をつく。 彼女は小さく謝ってから
G 4097字♥ 6別離 「主!」 先頭の和泉守が主の部屋の前に小さな人影を見付けた。髪を伸ばし、襦袢の上に上着を羽織っただけの少女、主だ。秋田も眠そうに目を擦りながら隣に立っている。 「起きてたのか?」 「今起きたの」 「
G 2044字♥ 11想い出 沖田君が居た頃は、主の事で喧嘩なんてした事無かったのに。 「乱ちゃんの髪の毛は良いなーさらさらでつやつやで」 「ふふっ」 乱藤四郎は主に髪を結えてもらいながら、嬉しそうに微笑んだ。今日の近侍は彼の