PG12 6803字死する躰 コウが廊下をぱたぱたと駆けて来て、江雪の部屋の障子を開けた。 「どうかなさいましたか?」 「他の刀[こ]達は? 誰も居ないんだけど」 「心配は無用です」 不安そうに部屋に入って来た審神者を手招きす
PG12 7084字江雪が望むもの 「よく考えたら、あんた達は江雪の裸なんて見放題だよね」 また別の日、仕事中の審神者がそう言うと、近侍の鯰尾藤四郎はにかぁ、と笑った。 「まあ、男同士ですからね。主が見たがってる胸板どころか下も見放題
PG12 6778字鉄壁の襦袢 ある昼下がり、襖の隙間から顔を覗かせたコウに、江雪左文字は表情一つ変えずに応えた。 「何か、ご用ですか?」 「ちょっと出陣してくれない?」 「構いませんよ」 にこにこと楽しそうな審神者とは対照的に
PG12 6696字誘惑と画策 江雪左文字は己を喚ぶ声に辟易していた。 時間遡行軍殲滅戦が始まって数ヶ月。国宝である江雪の元には、予め政府の能力者から協力の依頼があった。博物館で丁寧に保管され、戦乱の無い今の時代を喜びながら穏や