PG12 6955字西暦二二〇三年 三月 鶴丸国永は大きな蔵の中で踊っていた。ひらり、ひらり。上機嫌で着物の袖を翻す。揺れる髪はまるで雪の様に白いが、その顔は若者の風貌だ。陽が差さぬ蔵の奥には、薄く微笑みを浮かべてその様子を見る男の姿
PG12 2468字♥ 11面影 もう、見失わないように。 「…ァッ……」 鯰尾は恐怖に目を見開いた。 (息が…) 鯰尾の首には、馬乗りになった安定の両手が巻き付いていた。立てられた爪が肌に食い込み、血が滲む。 (なんで!?)