第12章:真実は謎のまま

  • PG12
  • 1708字

公式のコミカライズがDMMで50%ポイント還元セールされています。
初登場ドランクが理想の最強ミステリアスお兄さんムーブしてたり。
霧の島の話までは入っています。


 昼食後、ボクは城の書庫を見させてもらっていた。サージェとルビィは街にでかけて不在、ローズは疲れが今頃来たのか宛てがわれた部屋で眠っている。オニキスに彼女を預けてきた。
 この国の歴史を知りたい。
「あった」
 比較的新しそうな歴史の本。国の統一後、今から十年ほど前に書かれたものだ。
 迷わず本棚から引き出し、王族に関する章を開く。まずはローズの母親…レーザー王の伴侶について知りたかった。
 ボクは探していたページを見付けた。直後、その本を取り落とす。
「…何で…?」
 本を拾おうとして、そのままへなへなと腰を抜かす。
 その本に書かれていた家系図にはこうあった。

第一代キングダムガーデン
 国王 レーザー
 王妃 ルチル(故人)
 王女 アメジスト(国王の妹、故人)
 王女 ローズ
 王女 シトリン(故人)

 王妃の名前がルチル…?
 と、此処で首を振り、混乱しかかった頭を冷やす。あだ名ではなく本名に使う事もある名前だし、当然ボクとは別人だ。
 だけど、隠し子のボクに正妻を連想させるような名前を付けたのは何故? 普通ならそんな事…。
「まさか…」
 ボクは床に落ちたままの本を見つめた。
 まさか、ボクは、庶子じゃなくて嫡子?
 シトリンが攫われた後、更なる誘拐を怖れてボクの存在を隠したかったのなら有り得る…?
 そこである事実を思い出した。
 ルチル王妃がいつ亡くなったのかは知らないが、彼女がボクとローズ達の両方の母親では有り得ない。何故なら、ボクとローズは四捨五入的と言うか世間なら学校の学年が違うので「一つ違い」と言っているが、正確には誕生日がそんなに離れていないのだ。余程の早産や何かをしていなければ、ローズ達を産んだ後ボクを授かっていては計算が合わない。
 …としたら、どうだ? ボクの方が嫡子なら、ローズ達は一体誰の子供なんだろう。
 別の手掛かりを探そうと本を拾った所で、更に気になる記述に気が付いた。

王女 アメジスト(国王の妹、故人)

「…誰?」

 誰かが階段を下りて来る音がした。
「ローズ達が居なくなって四日」
 檻越しに低い声が私に言う。私は椅子に座った体は壁に向けたまま、首だけ捻ってその人物に振り向いた。
「本当に何も知らないのか?」
「何度も言わせないで。私はもう十五年以上もこの牢屋から出てないのよ」
 本当に、いっそ死刑にしてくれれば良かったのに。
 私を訪ねて来た男は溜息を吐くと、何も言わずに戻って行った。
 あんな気弱な奴が国王だなんて信じられない。
 そのくせ私のローズやシトリンを「世間体が悪い」と言って奪っていった。
 だからあの青い瞳の青年に託したのに。娘のどちらか片方を差し出せば、この国を私の自由に出来る様にしてくれると、用が済めば娘も無事に返してくれると。
 なのにそれから十六年余り、王冠とシトリンを「砂漠の薔薇」に引き渡そうとした私は捕まり、王族だった為に死刑は免れ、以来ずっとこの地下牢の中。シトリンはそのまま連れ去られ、王冠はクォーツ側が死守して、結局私には何も残らなかった。砂漠の薔薇はあれから王冠を奪う事も出来ずに、私に奇跡を起こしてくれる事も、シトリンを返してくれる事も無い。

 俺は眠るローズの寝顔を眺めていた。
 うーむ、言っちゃなんだが全く興奮しない…。
 本当にこいつと結婚してやっていけるだろうかと不安になる。
 眺めていると白い頬が柔らかそうだったので、ついぷに、と指で押してみた。ローズが反応して寝言を言う。
「う~ん、ルチルったらぁ…」
 ルチルねえ。こいつは事ある毎にあの小僧を呼ぶな。きょうだいってそんなに仲が良くなるものなのかと疑問に思う。
 ローズは夢を見ているのか、まだ何か言っていた。
「ふにゅー…手伝ってぇん…ドレス脱げないん…」
 …あの小僧、姫の着替えまで手伝ってるのか。なんかけしからん。
 と、そこへ例の小僧が戻って来る。
「何か解ったか?」
「…うん、少し…」
 そう言う口調が固い。サージェの言う通り、何か良くない事実があったのか。
「護衛替わるよ。そろそろ起きるだろうし、起きたら着替えるだろうし」
 やっぱり着替え手伝うのか。とは言え俺も疲れてきたので、一服しに厨房がある一階まで下りた。

このサイトではクッキーを使用しています。
詳細